ウスタビ


 冬枯れて見通しがよくなった裏山に、薄緑色の小さな提灯が下がっていました。ウスタビガのマユ、ウスタビ(薄手火)です。左右に張り出した部分を指で挟んで力をくわえると、ポカリと口が開いて、空っぽの内側が見えました。羽化のとき壁を破らずに脱出できる構造になっていて、底には雨水を排水するための穴までついています。 成虫がこの精緻なマユから羽化したのは去年の10月頃。寒い冬は卵で過ごして生命の世代をつないでいます。